小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第7回 炊き込みご飯(かやく飯) と春菊の煮浸し

~元気の出る懐かしい伝統料理~

 「炊き込みご飯」を「かやく飯」というのは、なぜ?

子どものころ、台所からただよってきた「炊き込みご飯」の匂いは、いつしか懐かしいおふくろの味となりました。ごぼう、にんじん、干し椎茸、それに、油揚げやこんにゃくなど、どこにでもある食材を炊き込んだアツアツを、家族で囲んだ夕餉の思い出。その「炊き込み飯」を「かやく飯(加役飯・嘉薬飯)」ともいうのはなぜでしょう。
辻嘉一先生の「ご飯と味噌汁(1981)」で次の一文に出会いました。中国古代の伝説上の皇帝、神農氏の遺したと伝えられる「本草経」は、特に医薬についての教えを詳しくまとめた本ですが、その中に、薬を上中下の三段に分けて、各50種の品目が載せられています。
すなわち下薬は直接病気に効く薬、中薬は保健薬、上薬は日常の食物の内の滋養の深いものが選び出されており、そのなかから特にかやく (嘉薬)を抜き出して炊き上げたもの、という意味をこめて文字をあてはめた、とあります。

元気の出る懐かしい伝統料理、炊き込みご飯

わが国にも古くから薬食(やくじき)とか食養生という言葉があり、食を大切に扱うことを知っていました。では、相性の良い焼き魚のほぐし身を加えた「炊き込みご飯」を作りましょう。青菜の煮浸しも添えて番茶で味わいましょう

材料

炊き込みご飯(かやく飯)

◆ 炊き込みご飯(かやく飯) 材料◆
米……………………………………… カップ3(490g)
(昆布と鯛の骨の)出汁……………… カップ3杯(700g)
鯛のほぐし身(塩焼きしたもの)…… 正味150g
ごぼうの笹がき……………………… 100g
にんじん……………………………… 100g
干し椎茸……………………………… 5g
日本酒……………………………… 45ml
薄口醤油…………………………… 30ml
砂糖………………………………… 3g
三つ葉……………………………… 2本(10g)

準備

  1. 鯛を2枚に卸し、上身は刺身に、骨付きの方を塩焼きにしておきます(沢山釣れたり、すぐ料理しない時など、焼いて冷凍保存しておけば、不意の来客時にも重宝)。
  2. 冷凍した「鯛の塩焼き」を、レンジで少し温めて身をほぐしたものと骨に丁寧に分けます。
  3. 鯛の骨をオーブンできつね色に焦がしたものと、出汁昆布を4カップの水に入れて火にかけ、沸騰後3分くらい煮て濾した出汁を取ります。

作り方

  1. ごぼうは、笹がきにして水に数分浸けてアクをおさえ、ザルに上げます(笹がきを湯通しして冷凍保存しておいても便利です)。
  2. にんじんは3cm長さの細切りにします。
  3. 干し椎茸は水に戻して薄切りにします。
  4. 分量の日本酒・薄口醤油・砂糖を混ぜた中に(1)(2)(3)を30分浸しておきます。
  5. 米は炊く30分前に洗ってザルに上げます。炊飯器に米を入れ、準備した「昆布と鯛の骨の出汁」をカップ3杯半入れ、(4)と鯛のほぐし身を加え、ひと混ぜして普通のご飯同様に炊き上げます。
  6. 蒸らしの頃に、一度ご飯を底からくるりと返します。蒸らした後、全体を軽く混ぜ合わせます。
  7. みつ葉を2cmに切ってあしらいます。
    ※薬味は別の皿に入れ、好みでかけます。

ポイント

  1. 最初から米と具を一緒に炊飯器に入れて炊き上げます(ご飯と具を別々に調理して合わせただけでは、味の渾然一体は望めません)。
  2. 鯛が塩焼きしてあるので、その分、ごはんを炊く時、塩分を控えておきます。
  3. 蒸らしの頃に、炊飯器の底をしゃもじでくるりと返して、一番美味しい味が片寄るのを防ぎます。

応用

  1. 鯛の代わりにチヌなどの白身魚を使います。
  2. ごぼうの笹がきは、レシピの量より多めに入れても目立たず高齢者や幼児もたべやすい切り方です。また、ごぼうの頭に向かって笹がきにすると、繊維が細かく切れて軟らかくなり、逆にシッポに向かって笹がきにすると、しゃきしゃきした歯応えが残ります。
  3. レシピは1度に作りやすい量ですが、冷めても食べられるので、お弁当にも向きますし、余れば型で抜くなどして冷凍保存もでき重宝です。

材料

◆春菊の煮浸し 材料◆
米……………………………………… カップ3(490g)
(昆布と鯛の骨の)出汁……………… カップ3杯(700g)
鯛のほぐし身(塩焼きしたもの)…… 正味150g
ごぼうの笹がき……………………… 100g
にんじん……………………………… 100g
干し椎茸……………………………… 5g
日本酒……………………………… 45ml
薄口醤油…………………………… 30ml
砂糖………………………………… 3g
三つ葉……………………………… 2本(10g)

作り方

  1. 鯛を2枚に卸し、上身は刺身に、骨付きの方を塩焼きにしておきます(沢山釣れたり、すぐ料理しない時など、焼いて冷凍保存しておけば、不意の来客時にも重宝)。
  2. 冷凍した「鯛の塩焼き」を、レンジで少し温めて身をほぐしたものと骨に丁寧に分けます。
  3. 鯛の骨をオーブンできつね色に焦がしたものと、出汁昆布を4カップの水に入れて火にかけ、沸騰後3分くらい煮て濾した出汁を取ります。

応用

  1. 鯛の代わりにチヌなどの白身魚を使います。
  2. ごぼうの笹がきは、レシピの量より多めに入れても目立たず高齢者や幼児もたべやすい切り方です。また、ごぼうの頭に向かって笹がきにすると、繊維が細かく切れて軟らかくなり、逆にシッポに向かって笹がきにすると、しゃきしゃきした歯応えが残ります。
  3. レシピは1度に作りやすい量ですが、冷めても食べられるので、お弁当にも向きますし、余れば型で抜くなどして冷凍保存もでき重宝です。

ポイント

  1. 最初から米と具を一緒に炊飯器に入れて炊き上げます(ご飯と具を別々に調理して合わせただけでは、味の渾然一体は望めません)。
  2. 鯛が塩焼きしてあるので、その分、ごはんを炊く時、塩分を控えておきます。
  3. 蒸らしの頃に、炊飯器の底をしゃもじでくるりと返して、一番美味しい味が片寄るのを防ぎます。

メモ

「炊き込みご飯」は、素朴で簡単な調理法から、見るからにおいしそうな美と味が一緒に生まれます。春菊には欠刻(葉の切れ込みの深いもの・浅いもの)の程度により、大葉・中葉・小葉の3種あり、大葉は苦みも少なく、高齢者も、野菜嫌いな子どもも、みんな喜んで食べられます。

文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)