小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第3回 タカナの炒め煮

広島紫タカナ コブタカナ~春を呼ぶ小さなオカズ、食卓の名わき役で、楽しい食卓~
伝統的な端境期(はざかいき)の野菜料理

春を呼ぶ野菜といえば、近頃では、菜花(ナバナ)を店頭でも多く見かけるようになりましたが、昔から、「タカナ」は寒さにも強く、分葱(わけぎ)と共に、端 境期の緑黄色野菜として伝承されてきました。雪の残る畑から葉を掻いできては、魚や肉料理に“もう一品”というときの「小さなオカズ」として、食卓にのせ た先人の知恵を感じます。

タカナはカラシナの中で、さらに、タカナ類(例:広島紫タカナ)と多肉性タカナ類 (例:中肋の内側にこぶ状の突起が出るコブタカナ)に分類されます(写真参照)。どちらもピリッとした辛味が、移り行くほんの一瞬とも思える時を、むしろ 待ち望んでいたような楽しさが味わえる早春の食材です。 野菜料理は、煮るとカサが減って、その分、沢山摂ることができます。生野菜ばかりに偏りがちなとき、一手間掛けて煮ることで、1日に摂りたい野菜350g もクリアしやすくなる、食卓の名わき役です。
次の「タカナの炒め煮」は、甘味と油で味が引き立つ料理です。出来たても、また一日置いても美味しくいただけますので、多めに作れば、常備食としても重宝です。

材料

タカナの炒め煮

◆タカナの炒め煮 材料(6食分)◆
タカナ………………………… 2把(400g)
(出来上がり写真はコブタカナ) 
焼き豆腐……………………… 1丁(200g)
植物油(しそ油)……………… 大さじ3杯(30g)
砂糖…………………………… 大さじ3杯(30g)
塩……………………………… 小さじ1/2(2g)
濃口醤油……………………… 大さじ3杯(45ml)

作り方

  1. タカナは、ていねいに水洗いし、葉と軸の部分に分け、それぞれ1cmに刻んで湯通しします。
  2. 焼き豆腐を湯通ししておきます。
  3. 大きめの鍋(中華なべが使いやすい)に分量の油を熱し、まず湯通ししておいたタカナの軸の部分を入れて、強火で炒め、次に葉の部分を入れて、しんなりするまで炒めます。
  4. (3)に、湯通しした焼き豆腐を、大きく崩しながら入れて、さらに炒めます。
  5. (4)に分量の砂糖・塩・薄口醤油を入れてよく混ぜ合わせます。
  6. (5)を中火で4~5分煮たら火を止めて、器に煮汁と共に盛ります。

ポイント

  1. タカナは、湯通し(さっと下茹で)しておくと、炒める時間が少なくてすみます。
  2. タカナの葉の部分は、好みによって4cm長さに切ると、噛み応えも味わえます。軸の部分は、薄く切ると、色・香り・歯切れ共に良く、美味しく味わえます。
  3. 加熱時間は、鍋の材質や熱源で違いますので、加減します。
  4. 油は、質と量を考えます(ここでは、しそ油、食材は焼き豆腐を選びました)

メモ

太田川の河川敷で、菜の花を刈り取る風景に出会うことがあります。広島菜が主産地である関係で、タカナと広島菜が交雑しないようにという願いと知りました。タカナ畑の後始末も大切なことですね。

文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)