小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第9回 サーモンの味噌漬け焼き

~子どもに合わせて、みんな楽しく~

小中学生の給食メニューで「嫌いな料理の第一位は魚料理」という調査結果もあります。あなたのお子様は魚料理が好きですか?もし、魚が食べられなくても、肉や卵や豆腐などが食べられれば、蛋白質がとれるから心配ないと思うかも知れません。しかし魚に含まれる脂肪(脂肪酸の一種であるEPAやDHAなど)には、血液をサラサラにする、血液中の中性脂肪をへらす、血管をしなやかにするといった働きがあります。そこで、幼時から魚ぎらいを解消する工夫をしてみましょう。魚が嫌いになった理由はいろいろありますが、形が見えることをきらう場合は、すり身にして、ハンペンのように形づくり、焼くのもいいでしょう。フィッシュコロッケなどにすれば、形も分からず、なんだか知らないで食べてしまいます。単に形を分からなくして食べさせるだけでなくて、食べやすく、見た目もきれいなかわいいものにして、目からも食べさせてあげるともっと嬉しいですね。 また米を中心とした日本型食生活では、植物性乳酸菌から作られる味噌を使うため、腸内状態が良くなります。鮭や鱈の切り身は朝食やお弁当にも欠かせない身近な魚ですが、子どもにとってはボソボソする食感が一番受け付けない原因のようです。 そこで「サーモンの味噌漬け焼き─白味噌入りホワイトソース掛け─」を作ってみましょう。魚の焼き物が、煮物、ゆで物、蒸し物よりはるかに美味しいのは、焦げ味が付くからです。ひと手間かけた料理を、みんなで楽みましょう。

材料

サーモンの味噌漬け焼き

◆サーモンの味噌漬け焼き 材料(4食分)◆
トラウト サーモン………… 4切れ(正味280g)
白味噌………………………… 300g
砂糖…………………………… 大さじ3杯(30g)
トレハロース………………… 大さじ1杯(10g)
キノコの油炒め
・生シイタケ………………… 40g
・ブナシメジ………………… 40g
・エノキダケ………………… 40g
・植物油(しそ油)……………… 小さじ1杯(3g)
・塩…………………………… 1つまみ(1g)
・ブロッコリー………………… 100g
白味噌入りホワイトソース
・バター……………………… 小さじ2杯(8g)
・小麦粉(薄力粉)…………… 大さじ1杯(8g)
・牛乳………………………… カップ3/4杯(150ml)
・白味噌……………………… 小さじ1杯(6g)

準備

サーモンは、皮を除いて、包丁を少し寝かせて1センチ厚さの削ぎ切りにします。
白味噌に分量の砂糖とトレハロースを練りこみ、味噌床を作り、サーモンに塗って3時間以上置きます(ガーゼなどは使いません)。 

作り方

  1. 緩めの白味噌入りホワイトソースを作っておきます。厚手鍋にバターを弱火で溶かし、ふるった小 麦粉を加えて木じゃくしで、混ぜながら炒めます。しだいに小麦粉とバターの水分が蒸発してサラサラした流動性のものになります。ここで火からおろし約 40℃にさまし、約60℃に温めた牛乳をルーに注ぎながらのばします。鍋を火にかけ、中火で煮立つまでかき混ぜます。分量の白味噌を加えて5~8分くらい (鍋の材質や熱源により異なる)煮込むと小麦デンプンが充分糊化してできあがります。
  2. 準備したサーモンの味噌を拭き取り、淡く焼き色が付く程度に網焼き又は魚焼きグリルで焼きます。
  3. 生シイタケの石付きを取って繊切りにし、シメジ・エノキダケは石づきを取ってほぐします。フライパンに植物油(しそ油)を敷き、しんなりするまで炒めます。
  4. ブロッコリーを小房に分けて固めに塩ゆでして水気を切っておきます。
  5. 皿に(2)を盛って、(3)を手前に添え、白味噌入りホワイトソースをサーモンとキノコのソティに掛けます。最後にブロッコリーを右手前に添えます。

ポイント

  1. 塩辛くしない工夫…トラウトサーモンは甘塩ではなく、生を選びます。子どもにとっては特に塩辛い味にならないよう気をつけましょう(お刺身やすしネタにもなっています)
  2. 白味噌床の工夫…白味噌はおだやかな香りで、大豆より麹が多く使われ塩分が少ない甘味噌ですが、さらに砂糖を10%加えま す。トレハロースも入れて魚臭の発生を抑制します。(トレハロースは糖質の仲間で、天然には、酵母やキノコ類海藻などに多く含まれますが、H+Bライフサ イエンスでトウモロコシなどの澱粉から大量生産されるようになりました。ここでは、魚臭のトリメチルアミンの発生抑制のために使います。魚に直に振っても 良いです。)
  3. 焼き方の工夫…薄いきつね色に網焼きします。魚のタンパク質と、糖が180度に加熱されたときにメラノイジン反応を起こし、美しい褐色が生まれ、食欲をそそる香りを発します。(メラノイジンは抗酸化性を持ち、油の酸化による異臭も出にくくします。)また、網の上にアルミホイルを敷いて焼くと、形も崩れにくく、網もよごれません。
  4. ソースの工夫…ホワイトソースをゆるめにつくり、新しい白味噌を少し加えて味をなじませます。
  5. 盛り付けの工夫…サーモンの皮を取り、白味噌入りホワイトソースを掛けますが、和風料理として、付け合わせを前盛りしています。ブロッコリーはソースが掛からないように、最後に添えるときれいに盛りつけられます。

応用

  1. サーモンの味噌漬け焼きだけを、お弁当のおかずや、ほぐして「おむすび」にしても美味しいです。
  2. 味噌床は、炒って水分をとばし、トレハロースを加えてはタラやハマチなどを漬け、3回まで使えます。
  3. 味噌床にみりんを加えてもよろしいです。
  4. 付け合わせのキノコは、空炒りするとあっさりした味になります。キノコは1種類でもよいし、他の野菜でもよろしいです。

メモ

「魚の姿煮を、園児の前でゆっくりと、ていねいに、身を取りながら食べさせているうちに、まねをしながら骨をはずして一人で食べるようになりました。」と保育園の園長先生のお話。子どもの力に感動します。
魚といえば、日本食を代表する食材でしたが、ここ数十年の間に消費・生産共に大きく変わりました。日本人の魚離れの理由に調理が面倒だ、グリルが汚れて洗うのが大変、子どもがきらいだ、なども含めて、みんなで考える時かもしれませんネ。

文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)