第6回 理想的なアブラの摂り方 鰤(ブリ)大根
~大人も子どもも、「ブリ大根」大好き~
冬の魚の王様、ブリ。
アブラのよくのったブリとみずみずしい大根の相性はまさにぴったり。
ブリは、名前が、成長と共に、わかな→はまち→いなだ→ぶりと変わるので出世魚といい、縁起が良いというのでお正月には欠かせない魚です。
12月半ばから2月半ばの寒い季節が美味しく、寒は寒ブリと呼ばれて、最も味がいい時です。
部位によって使い分けていますが、頭やカマや中骨など旨みのあるところを、大根に含ませる「ブリ大根」を作ってみましょう。
材料
◆鰤(ブリ)大根 材料(4人分)◆
ブリのあら……………………… 600g
大根…………………………… 大1/2本(800g)
合わせ地
・昆布の水だし又は水………… カップ 3杯半(700ml)
・濃口醤油……………………… 大さじ4杯(60ml)
・みりん………………………… 大さじ4杯(60ml)
濃口醤油……………………… 小さじ2杯
さやいんげん(天盛り用) 適宜
薬味
・柚子の皮……………………… 適宜
・生姜…………………………… 適宜
・七味唐辛子…………………… 適宜
準備
- 大根の下ごしらえ
大根は2.5cm~3cm厚さの輪切りにして厚めに皮をむき、面取りして、十字のかくし包丁を入れます。湯に米ぬかを1握り(なければ米少々)を入れて下茹でします。七分通り軟らかくなったら、水に放して糠を除き、水気を切って浅い鍋に並べます。 - ブリの下ごしらえ(湯通し)
鍋に湯を煮立てた中に、あらを1切れずつ数秒くぐらせて氷水に放ち、指先で、残ったウロコやヌメリを取ってザルに上げます(湯通しといいます)。ウロコが取りにくいときは、スプンを使うと、きれいに取れます。
作り方
- 大きめの鍋に下ごしらえをしたブリと、分量の合わせ地を入れて、強火で煮始めます。
- 煮立ってくるとアクが出始めるので、ていねいに取り除きます。
- 煮汁を全体に行きわたらせるために落とし蓋をして、中火で約30分煮ます。
- 煮汁の量が初めの半分くらいになったら、落とし蓋を取って下ごしらえをした大根の鍋に、煮汁をカップ3/4杯移し、水をカップ半杯加えて中火で煮含めます。
- (4)の大根に竹串を刺してスーッと通るくらいになったら、火を止めて、大根をすくってブリの鍋に戻します。煮汁を全体に掛けながら煮詰めます。
- (5)のおろし際に濃口醤油小さじ2杯を回しかけてひと煮立ちさせ、照りを出します。
- (6)を器に煮汁ごと盛って絹さやを挟みます。
※薬味は別の皿に入れ、好みでかけます。
ポイント
- ブリは新鮮なものを選びます。(生姜は新鮮であれば使わなくてよい。好みで使うときは、スライスして2~3枚炊き込んで取り出す程度に。また、子どもと一緒に食べる場合、薬味として別皿に用意します。アラはすぐ用いない時は、薄塩か、湯通ししておきます。
- 大根は、アラを煮た合わせ地を水で割って含め煮にします。それは、大根そのもののあまみを引き出すためです。アラの鍋に戻して、照りをつけて仕上げます(作り方(5)をご参照ください)。
- 調理時間や調味料の分量は、鍋の材質や大きさや熱源で加減します。
- 絹さやや薬味はなくてもよろしいです。子どもにも食べられるように、薬味は別皿に入れます。
メモ
昼食レストランなどに行くと、魚類は、ほとんどが揚げ物で、煮もの・アミ焼きはあまり見つかりません。
野菜サラダはヘルシーメニューと考えておられる方は、何で味付けするかによって、逆に不健康なメニューになってしまうことを知れば、「ブリ大根」は、「ブリ(魚)」の旨み(アブラも含めて)を「大根(野菜)」に含ませるという、理想的なアブラの摂り方といえそうです (魚のアブラについては「第4回」をご参照ください)。 子どものうちから、魚と野菜を炊き合わせるという、先人の知恵を食体験させて、食べる楽しみを培っていけば、将来の食育にもつながるのではないでしょうか。
文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)