第5回 子どものための「さつまいものオカズ」
~ほどよい自然の甘みが持ち味のさつまいも料理で、楽しい食卓を~
お子さまは、毎日、お芋、食べていますか。 稔りの秋には、幼稚園、小学校、あるいは地域の集いは「サツマイモ掘り」が秋の深まりを告げるほのぼのとした行事として、毎年新聞紙上を賑わします。年配者にはつらかった時代に命を支えてくれた偉大な作物として、脳裏に刻み込まれています。 飽食の時代といわれる今日にあっても、芋は澱粉質に富み、しかもビタミン、ミネラル、食物繊維が多い上に、ヤラピンという緩下成分が含まれているため、排泄を助け、便秘を防ぐにも、うってつけです。
私たちの健康なからだを作るためになくてはならない野菜のひとつにあげられています。 肉や魚料理は毎日食べても、芋は、ついつい忘れ勝ち、という声も時に聞かれます。 じゃがいも、さといも、やまいもと共に、美味しいさつま芋料理を、毎日、ちょっと目先をかえながら作って食卓を彩り、みんなで楽しみ、健康づくりに役立てましょう。
つぎは、さつま芋の特徴を生かしながら、簡単で、子どもに喜ばれるオカズ三品です。
材料
◆さつまいもの甘辛煮 材料◆
さつま芋(金時系のもの)…… 1本(200g)
砂糖…………………………… 大さじ1杯半(15g)
濃口醤油……………………… 小さじ1杯半(7ml)
水……………………………… カップ3/4杯(150ml)
作り方
- さつま芋は皮つきのままよく洗い、厚さ1.5cmの輪切りにし、切るはしからたっぷりの水に30分さらしてアク抜きします。
- 直径18cmくらいの鍋に、水気を切った(1)を一並べに入れ、ひたひたくらいに水を注いで火にかけます。
- (2)が沸騰したら、分量の砂糖、醤油を加えます。
- (3)が再び沸騰したら、弱火にして、さつまいもが柔らかくなるまで14~15分間煮ます。汁が少なくなったら鍋を傾けてさつま芋に汁をすくいかけ、照りよく仕上げます。
- 火を止めたら、粗熱がとれるまでそのまま置いて味を含ませます。
ポイント
- 皮つきで煮るときは、皮がきれいな金時系の新物を使います。
- 煮上がる時間は、鍋の材質や熱源によって違います。
- 煮くずれしやすいので調味料を入れて煮立ったら弱火でゆっくり煮ます。
- 火を止めて、すぐに取り出さない(粗熱がとれる間に美味しくなります)。
材料
◆さつま芋のミルク煮 材料◆
さつま芋……………………… 1本(皮をむいて200g)
砂糖…………………………… 大さじ1杯半(15g)
水……………………………… カップ3/4杯(150ml)
牛乳…………………………… カップ1/2杯(100ml)
塩……………………………… 1つまみ(1g)
片栗粉………………………… 小さじ1杯(3g)
作り方
- さつま芋1.5cmの輪切りにして、皮をくるりとむき、切るはしから水にさらします。
- 鍋に(1)と水カップ3/4杯、砂糖を入れて火にかけ、強火で煮ます。沸騰したら中火で15分くらい煮ます。
- (2)に分量の牛乳を加え沸騰したら弱火で、さつま芋が柔らかくなるまで煮ます。
- (3)に水溶き片栗粉を加え、とろみをつけて火を止めます。
※応用…別鍋でオイル無添加のドライフルーツを、ひたひたの水と、砂糖を少し加えてふっくら煮ておき(4)に加えます。
ポイント
- 水加減は鍋や熱源によっても違います。
- 牛乳を加えてからは火加減を弱火にします。
- 煮上がる時間は芋の種類、鍋の材質、熱源などで違います(竹串で、すっと通るか確かめましょう)。
※さつま芋の皮の中にはヤラビーという消化酵素を含むため、胸やけを防ぐ意味でも皮のついたままで食べる方が望ましいです。子どもはそれを知っているようですね。また皮つきであれば、ビタミンCの残存率もより高く、よい料理法です。
材料
◆さつま芋のお焼き 材料◆
さつま芋(甘い品種)…………… 1本(正味200g)
片栗粉………………………… 大さじ1杯半(15g)
植物油(しそ油)………………… 大さじ1杯(10g)
作り方
- さつま芋を皮つきのまま蒸し器の強火で15~20分、竹串がスッと通るまで蒸します。
- (1)の皮をむき、ボウルに入れて冷めないうちにつぶします。
- (2)に片栗粉を入れて手でこね、平丸形に丸めて真中を指で少しくぼませます。
- フライパンに植物油を敷いて(3)の両面にきつね色の焼き色が付く程度まで焼きます(フライパンが樹脂加工なら油は使いません)。
ポイント
- 芋が冷めないうちにつぶします。
- 丸めた後で真中を指で少しくぼませます(焦げ色がきれいにつきます)。
- 子供の年齢によって大きさを加減します(親指大に小さく丸めれば離乳食になります)子どもは盛り付ける形や量にも敏感ですね。
- 蒸し器を使う方が電子レンジより甘くなります。(これはβ―アミラーゼという酵素の適温が55~65℃で、低い温度で長く熱を加えるからです。石焼芋の甘い訳もこのためです)。
メモ
子どもが1日に摂りたい芋類の量は1~2歳40g(卵S寸1個分)、3~5歳60g、6~8歳70g、9歳以上100g。栗(九里)より(四里)うまいので「十三里」とも呼ばれてきたサツマイモ。
生活習慣病の若年化が心配ないまこそ、さつま芋の長所を生かしながら、新しいセンスで、さつま芋料理の美味しさを子どもに伝えていきましょう。
文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)