小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第48回 冷え症改善の食事

 冷え症とは、血液の流れが悪いため毛細血管へ温かい血流が流れず、血管が収縮し、そのため手足などが冷えてしまう状態のことです。一般的に体温を測って36℃未満の人を「低体温」と呼ぶことがありますが、冷え性は「体温が何度以下」という考え方とは違います。冷え性は、「普通の人が寒さを感じないくらいの温度でも、全身や手足、下半身など体の一部や全身が冷えてつらい症状」とされています。気温とは関係なく体が温まらないので、真夏であっても冷え性の症状は出ます。冷え性改善は生活の見直しも大切になってきます。

 

冷え症の原因

① 運動不足
② 食生活の乱れ
③ ストレス
④ 自律神経の乱れ
⑤ 喫煙
⑥ 便秘

 

冷え症の改善方法

入浴・半身浴
 シャワーではなく、お風呂に浸かって体を温めるのが冷え症改善に最も良い方法のひとつです。38~40℃くらいのぬるめのお湯に入浴しましょう。じんわり汗をかくくらいまで、少し長めにお湯につかるとよいでしょう。

 

適度な運動
 血流の流れを良くするためには新陳代謝を促進することです。新陳代謝を促進するのに最も効果があるのが運動です。ハードなスポーツでなくてもかまいません。軽いウォーキングでもいいでしょう。毎日の生活の中で、少し歩く量を増やしたり、仕事や家事の合間に簡単なストレッチをするだけでも十分なのです。特に、就寝前のストレッチは血行が良くなって体温が上がり、ぐっすりと眠ることができるでしょう。普段の生活で少し体を動かすことを意識しながら生活してみましょう。

 

食べ物
★食性(食材の素材自身の効能)を生かした料理を口にするようにしましょう。
 食べ物には身体を温める「陽性」の食べ物、身体を冷やす「陰性」、どちらにも属さない「中性」の食べ物があります。冷え症だからと言って、体を温めるものだけ食べればいいわけではありません。体を冷やす食べ物は鎮静作用もあるため、火を通したり体を温める食品と組み合わせたりして、上手にバランスをとりましょう。
 大まかな見分け方として次のようなことを参考にしてみてください。

 

陽性の食べ物:(冬が旬、寒冷地で育つ、地中で育つ、暖色系、水分が少ない、発酵食品)
人参・かぼちゃ・玉ねぎ・レンコン・ごぼう・じゃがいも・自然薯・ショウガ・ネギ・ニンニクなどの根菜類、玄米・鮭・納豆・キムチなどの発酵食品。寒い土地でとれる野菜に多い。ゴマ、黒豆、小豆など黒いもの

 

陰性の食べ物:(夏が俊、南国育ち、地上で育つ、暖色系、水分が多い)
トマト・キュウリ・レタス・ナス・ホウレンソウ・小松菜・タケノコ・梨・スイカなど。砂糖や合成甘味料
などの白いもの。水っぽいものなど。

 

★物理的に温かいものを口にする
 冷たい飲食物をとると体が冷え、温かいものをとると体が温まるのはよく経験するところですね。温かい汁物やなべ料理、おでんなどお勧めですね。

 

☆間違えやすいもの☆

 寒い時に体を温めるため、コーヒーや緑茶を飲む人も多いと思いますが、暑い国で育つコーヒーや製造工程で発酵していない緑茶や抹茶は身体を冷やすものです。寒い時に飲むと体を冷やしてしまいます。
 では、どんなものがおすすめなのかというと、
① 製造過程で発酵しているお茶(紅茶・プーアル茶・ウーロン茶)
② 地中で育ったものから作られたもの(タンポポ茶・タンポポコーヒー・ごぼう茶)
③ ポリフェノールの血管拡張作用により血流良くしてくれるもの
 ⇒(ココア・黒豆茶・赤ワイン)
 北国で育つ甜菜(ビート・サトウダイコン)から作られる甜菜糖は身体を温めますが、沖縄など暑い地域で成育するサトウキビを、更に生成された白砂糖は特に体を冷やします。同じサトウキビからできている砂糖は、未精製でビタミンやミネラルが残っているため、体を冷やす作用は穏やかといわれています。

 

体温を上げる役割のある朝食はきちんととる。
 体温の日内リズムの中で、朝食はとても重要。朝食は1日の活動に向けて代謝を高め、体温を上昇させるという意味からも特に重要です。
 体温を上昇させるためには、体内時計をリセットし、体内の細胞を活性化させなければいけません。しかし、朝食べれば何でもよいというわけではなく、朝食のタイミング、内容も考慮しなければなりません。

① 朝日を浴びて1時間以内に
② 炭水化物とタンパク質を揃えた食事(例えば卵かけごはんや、納豆ご飯、サンドイッチなど)を摂取すると効果的です。

無理なダイエットはしない
 無理なダイエットによる摂取エネルギー不足で、熱を作り出す筋肉の減少と断熱材の役割をする体脂肪の減少で冷えやすくなるといわれています。ダイエットはほどほどにしましょう。

 

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)