第45回 カンピロバクターによる食中毒に気をつけて!
予防法をしっかり守って、食中毒にかからないようにしましょう。

原 因
カンピロバクターの菌は、野鳥、ニワトリ、ウシ、ブタ、そしてペットの犬や猫など、多くの動物が体の中に持っています。したがって加工の段階で汚染された肉、未殺菌の牛乳や鶏卵などを食べることで感染してしまいます。また、飼っているペットが保有している菌で感染してしまうこともあります。更に野鳥や動物の糞で汚染された井戸水や湧水が原因となることもあります。
これらの様々な原因の中でも特に多いのが、鶏肉による食中毒です。
少量の菌数で発症するため、冷蔵庫内や調理器具、手指などから他の食品に、この細菌が付くことでも起こります。(この場合は総菜類などの様々な食品が原因となります。)
また、不十分な殺菌により、井戸水や湧水を原因とする食中毒を起こしています。
症 状
原因となる食品を食べてから、平均2~3日、比較的長い時間を経て発症します。腹痛、下痢、発熱、頭痛、嘔吐などを起こします。特に、小さい子どもや高齢者では、脱水で重症になることも、あります。また、稀に手足の麻痺を起こしたり、呼吸ができなくなったりする、「ギランバレー症候群」という合併症を起こしてしまうこともあります。
予 防 法
- ・トリサシなどの生肉や、生焼けの肉は食べない。
- (*肉を生で食べることは、たとえ新鮮なものであっても食中毒のリスクがあります。特に子供や高齢者など抵抗力が弱い方は生肉の喫食を控えましょう。牛レバーは生食用としての提供が禁止されています。)
- ・肉は中心部まで、しっかり加熱する。(75℃で1分間以上加熱
- ・生肉を触った後の手や調理器具はしっかり洗浄・消毒する。
- ・肉汁がサラダや果物などの生で食べるものや調理の済んだ食品に付かないようにする。
- ・焼肉やバーベキューを食べる際は、生肉を扱う箸と食べる箸を使い分ける。
- ・生水(井戸水や沢水など)は、沸騰するなど殺菌してから飲む。
*カンピロバクター菌は、基本的に肉の表面についているので、しっかりと表面が加熱されれば、死滅します。しかし、ミンチとなっている肉団子などは、表面が中に練りこまれた状態なので「つくね」や「肉団子」は中心までしっかりと火がとおっていなくてはなりません。
*冷蔵庫も過信してはいけません。カンピロバクターは、低温にも比較的強い菌です。低温の中で菌の増殖はおさえられますが、菌が死んでしまうわけではありません。
文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)