第43回 みかんのアレコレ話
ミカンと風邪
みかんの栄養で代表的なのはビタミンCですよね。みかんは比較的ビタミンCが多く、たった3個のみかんで1日に必要なビタミンCの摂取量を賄うことができます。みかんの他にもキウイやイチゴなどにも多く含まれます。
風邪予防にビタミンCが良いと言われていますが、ビタミンCの何が良いのでしょうか?
ビタミンCはコラーゲン生成を助けるので、鼻や喉の粘膜強化になり、また、白血球(身体に侵入した異物を排除する「防衛隊」)の働きを助ける効果があります。その結果「風邪ウィルス」の侵入を防ぐことになり、風邪予防につながるのです。
ビタミンCは熱や空気、水に触れると簡単に分解されてしまう物質ですが、みかんだと、皮を手で剥くだけですぐ食べられるので、ビタミンC分解も少なく効率よく摂取できます。
みかんのカビについて
みかんに生えるカビの多くは青カビ。青カビには有害なものと無害なものがあり、ほとんどが無害なものが多いと言われています。
ほとんどの健康な人の体にはミカンの青カビは問題ないと言われていますが、一見青カビのように見えても他の有毒なカビである場合もあり、素人目では判断しにくいこと、また、体調を崩していたり免疫が低下している場合、特にカビの生えたものを食べてしまうことで中毒症状を起こしてしまうことがあるので、カビが生えていたら、その部分だけとって食べる のではなく、丸ごと捨ててしまった方が安全です。
みかんと消化
- ・みかんをたくさん食べると消化不良の原因になる?
- みかんの果肉を包んでいる薄皮のことを「瓤嚢」といいます。ここに食物繊維が多いため、たくさん食べると消化に時間がかかります。すると、消化器官に負担がかかってしまい、消化不良の原因になってしまいます。ただ、健康な方が1日に2~3個程度食べるくらいなら、差支えないでしょう。
- ・胃酸過多の人にみかんは禁物?
- みかんには、クエン酸が含まれており、疲労回復に良いと言われていますが、一方で胃酸の分泌を促進するので、より胃の負担が増えます。
*甘いミカンにもクエン酸は含まれています。
疲れた胃の負担になるので、胃酸過多の疑いがあるときは、ほどほどに控えましょう。
また、嘔吐、下痢、食欲不振があるときは、胃腸が弱っているので、食物繊維が豊富で体を冷やす効果のあるみかんを食べるのは控えましょう。
みかんは、風邪予防としてはお勧めではありますが、ひいてしまったときは咳やお腹、吐き気の症状によって食べるか否かを考えた方が良いでしょう。
みかんの薄皮と白い筋は一緒に食べるべきか?
健康な方が食べる分には、薄皮や白い筋は一緒に食べた方が栄養的には良いようです。
因みにみかんの白い筋は維管束といいます。
薄皮にはビタミンCの吸収を高めるビタミンPが含まれ、さらに、薄皮と白い筋にはポリフェノールの一種ヘスペリジンが豊富で栄養たっぷりです。このヘスペリジンは、毛細血管を強化し、ビタミンCと一緒に血圧の上昇を抑制し、その他中性脂肪を分解する働きもあります。食べる時は豪快に薄皮も白い筋も食べるようにしましょう。
みかんの剥き方
みかんの口当たりを重視し、なるべく白い筋は避けたいというのであれば、ヘタの方から皮をむくとよいようです。
その他の方法として、先ずみかんを半分に割る。その際ヘタはつなげたまま。次に半分になった部分を更に半分にし、ちょうど1/4になるように割裂きます。ヘタ部分でつながったまま4分割、最後に割裂いた各部位のお尻から身をはがすように剥くときれいに剥けます。
柑橘類とビタミンC
ビタミンCというと、柑橘類と思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。柑橘類は、 ミカン科のミカン属に属する植物のことです。
この柑橘類の中で、100g当たり最もビタミンCを多く含むのは柚子です。その次から順にレモン、金柑、カボス、グレープフルーツ、みかんです。ただ100g当たりの含有量が多くても、常用量で考えると酸味が強すぎたり、食べにくいため少量しか摂取できないという場合があります。
たとえば柚子、100g当たりの果皮でみれば、レモンの3倍、ミカンの5倍ビタミンCが含まれていますが、1日に必要な100㎎をとるため、柚子の皮と果実全部合わせて3つも食べるのは難しいですよね。柚子果汁だけで摂取しようと思うなら、だいたい18個絞った量が必要です。この点から見れば、100g当たりの栄養素の含有量だけでみるのではなく、食べやすさ、1回に摂取できる量も考慮する必要があります。
文責/桑原医院 管理栄養士 坂井 エリサ(さかいえりさ)