小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第36回 子どもの嘔吐下痢症

 ウィルス性の胃腸炎や食中毒などによる嘔吐や下痢は、思いのほか体力を消耗します。今回は冬に多い子どものウィルス性胃腸炎による嘔吐下痢症についてお話します。
 風邪のように簡単にもらってきてしまう病気で、症状には差があります。嘔吐だけで下痢はなかったり、2、3回嘔吐があった程度で落ち着く場合もあります。逆に一日中吐き続けてやっと落ち着いたり、下痢が一週間も続くときもあります。

 

  • ・原因のウィルスを殺すお薬はありません。熱や吐き気・嘔吐がある場合は、そのお薬を処方します。
  • ・家庭での食事療法と水分補給が一番大事です。
  • ・吐き続けるときや脱水状態が強いときは点滴や入院が必要になることもあります。

 

吐いた後は
・30~60分はおなかの安静を保つために絶飲食にします。
・コップに100mlくらい湯冷ましやOS-1(経口補水液)などの水分を用意し、
幼児であればティースプーンで1~2杯ずつ、1分おきくらいペースでゆっくり少しずつ与えます。

★注意★

  • ・ 大人がよく飲むスポーツドリンクは、けいれんなど引き起こすおそれがあるので避けましょう。
  • ・ 脱水状態になったからといってあわてて一度にたくさん飲むと吐いてしまう場合がありますので注意が必要です。

 

吐いた後に与える水分
軽度の脱水には経口補水療法が最適です。
・水分補給には塩分と水分の補給が必要です。経口補水液は、水分や塩分を腸からより速やかに吸収できるように、水分、塩分、糖分をバランスよく配合した飲料で軽度の脱水であれば点滴に代わるものです。

・大量に汗をかいたときや脱水症の予防にはスポーツドリンクが有効ですが、脱水症に陥った場合の改善には水分吸収速度の速い経口補水液が適しています。経口補水液はスポーツドリンクと比較し、塩分が多く糖分が少ないため、迅速に水分を補給できるのが特徴です。脱水の予防と改善では、水分補給のための飲料の選択が異なることを理解しておきましょう。
・経口補水液は病院または調剤薬局でお求めできます。
・水分補給の目安:学童・・・・500ml~1000ml/日 幼児・・・・300~600ml/日
  • 手作り経口補水液
  • 砂糖40g(大さじ4.5杯)と塩3g(小さじ1/2杯)、湯冷まし1Lをしっかり合わせ混ぜます。好みで仕上げにレモンやグレープフルーツを絞りいれると飲みやすくなりカリウム補給にもなります。

<避けたいもの>

×オレンジジュース、トマトジュース

嘔吐がおさまって下痢が続いている時期
 徐々に摂取する水分を増やして問題がないようであれば、半日から1日程度で消化の良いものを食べさせましょう。「お腹が空いた」と言い出して食欲が回復しているようであれば、もっと早く食事を始めてもかまいません。ただし、量は少な目に。元気に見えても腸は回復していないかもしれないので、便の様子を見るようにし、便の状態に合わせた食事にしてください。また吐くようであれば食事はストップしましょう。

☆便が水のようなとき
⇒野菜スープ(具は食べない)・重湯(米1:水10)・味噌汁(上澄み)・りんごのすりおろし
☆便がドロドロの時
⇒カボチャやニンジン、ジャガイモの煮つぶし、バナナの裏ごし、パン粥
☆便が柔らかい程度で形あり
⇒胃腸の働きも少しづつ回復してきた証拠。柔らかい食べ物をあげるように
おかゆ・軟らかく煮たうどん・卵・野菜の煮つけ・白身魚の煮つけ・鶏ささみ・豆腐
☆便がいつもの硬さ
普通食

 

<避けたいもの>

  • ×牛乳・乳製品
  • ×繊維の多い野菜・サツマイモ・海藻類
  • ×発酵しやすいもの(砂糖が多く含まれているもの、サツマイモ・栗・生の果物・豆類)
  • ×消化しにくいもの(貝類・イカ・タコ・赤飯・ラーメン・漬物)

 

 

・ 頻繁に吐き続ける ・おなかがパンパンに膨らんでいる
・ 元気がなくぐったりしている ・血便、コーヒーの残りかすのような吐物を伴う
・ 顔色が悪い ・泣き止まない、不機嫌
・ 唇が乾いておしっこが少ない ・我慢できない痛み

 

 

・吐物や下痢で汚染した衣服はすぐに着替えて洗う
・手洗いを十分に行い感染の拡大を防ぐ
・タオルを使いまわさないよう個人別にするか、使い捨てのペーパータオルにする。
・ 汚物のついた、床、布団、便器や水道の蛇口なども丁寧に水で洗います。消毒液にはジアミトール10%液、なければ家庭用ハイターを薄めて、布巾で絞って拭き取ります。その際、手袋とマスクをつけることを忘れないように。
 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)