小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第33回 お餅のアレコレ

 お正月になると、お餅を口にする機会が多くなる季節でもありますが、そのため正月ぶとりの代名詞のように言われることも多いようです。本当にそうなのでしょうか?上手に食べる方法をお話していきます。

お餅の効能

 ①体に優しい
 お餅の原材料は「もち米」と「水」のみです。つまり不必要な添加物を一切含んでいないため、体に優しいです。
 でも「市販のお餅は長持ちするから添加物がたっぷり入ってるのでは?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?市販のお餅が長持ちする理由は添加物ではなく、製造過程でカビが混入しないように徹底した衛生管理でシャットアウトされていることと、包装時にカビが生きるのに必要な酸素を抜き、代わりに窒素を充填しているためであるようです。
 *ただし、市販でも個包装、窒素充填されていないものを除く


 ②体を温める
 お餅は、白米より胃を温める効果が強いといわれます。冬場にお餅を食べる機会が多いのは、原料のもち米に胃を温める効果があり、冷え性を改善することができるとされてきたからです。


太りにくい食べ方

 ①食べても良い量は?
お餅1個のカロリーはどのくらいでしょう?
切り餅1個 約50g:約6.5×約4×約1.6cm:約120kcal
丸餅1個 約35g:直径約5~6cm・高さ1.5~1.8cm:約80kcal
ご飯は、お茶碗一杯だいたい150gで約240kcalです。
 ということは、1食のご飯代わりにお餅を食べる場合は切り餅の場合2個、丸餅の場合3個までとすれば大丈夫ということです。その他、ご飯もお餅も1食に食べたければ、ご飯を半分の75gにして切り餅1個にするか、ご飯を100gにして丸餅1個にして調整しましょう。


 ②食べる時の組み合わせは?

・野菜をたっぷりと使う
 野菜たっぷりのお雑煮なら、食物繊維も水分もとれるので、満腹感を感じやすくなります。
・代謝を助けるものと組み合わせる
 納豆や大根おろしがベスト。納豆にはビタミンB群が含まれ、糖代謝をスムーズにしてくれ、大根おろしの酵素は炭水化物の消化も助けてくれる優れものです。
・甘味を避ける
 たまにならいいのですが、毎回ではお餅そのものより、甘味のあんこや、砂糖たっぷりの砂糖醤油、黄な粉分のカロリーでカロリーオーバーになってしまいます。なるべく、甘味のものをつけて食べることは控えましょう。

お餅のカビ

 お正月が終わってもお餅がたくさん残っており、更にカビも生えているということが多いのではないでしょうか。「カビの生えた餅はその部分を削れば食べられる」 という声もよく聞きます。実際はどうなのでしょうか?

 ①発がん物質となるカビ毒の存在
  餅に生えやすいカビはいろいろあり、青カビ、赤カビ、黒カビとそれぞれ同属種類のなかでも、無害なもの、あるいは強いカビ毒を有するものも様々あるので、カビの「色」で判断できるものではないので注意が必要です
 ②アレルギーや食中毒の恐れ
  人によってはカビの胞子がアレルゲンとなり、アレルギー性鼻炎や皮膚炎を引き起こす恐れがあります。
 ③カビ毒を分解したり除去することは難しい
  カビ毒は非常に熱に強いものが多いです。カビ菌自体は熱によって滅菌されても、生成されたカビ毒の毒素は残るので、カビの生えたところをすべてこそぎ落としても安心ではありません。
 カビが生えたものは食べない方が安全と考えた方が良いです。ですから、せっかくの餅を捨ててしまうことにならないように、お餅にカビ対策をしておきましょう。

  • 一番良いのはカビが生える前に食べきっておくこと、または冷凍する
  • 鏡餅の場合一段目の底の部分と2段目の重なる部分に餅の直径よりやや短くカットした割り箸をおき、餅を少し浮かせておくことで風が通るようにする
  • 食品用アルコールスプレーや純度の高い焼酎など吹きかけておく。数日おきに少量吹きかける程度。餅にはなるべく直接手を触れないようにビニール手袋など利用する。
  • 部屋の通気性もよくする

乾燥した餅、ひび割れた餅の食べ方

 お正月が終わってカチカチになった鏡餅。もとは、年神様へのお供え物なので、切るのは好ましくなく、木槌や金槌で叩いて割っていきます。最初は少しずつ叩いていき、ヒビが入ったところで思いっきり叩いていきます。中途半端に乾燥しきっていないものは、きれいに割れません。この場合叩き割ることをあきらめて、大きめのボールに水を入れ、お餅をしばらく浸しておきます。大きさにもよりますが、小さいもので4~5時間、大きめのもので半日つけておきます。一度に食べきれない場合は、漬けている水は、毎日かえましょう。叩かずとも手で割ることくらいには戻ります。その後は、煮るなり焼くなり揚げるなりしてお餅を楽しみましょう。ただし、揚げる場合はしっかり水分を切ってから揚げるようにしましょう。


文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)