第27回 子どもの野菜嫌い克服へのヒント
子どもが食べない背景:幼児の発達と食事
幼児の食べる機能は歯の生え方と深く関係します。この機能の発達には個人差が大きく、中には早い時期から大人と同じ食事を食べられる子もいるので「なぜ、うちの子だけ」と思いがちですが、実際は口腔機能の発達に合っていないため「食べられない」場合が多いのです。
奥歯の生えそろっていない時期に食べにくいものとして以下のようなものがあります。
ペラペラしたもの | レタス・わかめ |
硬すぎるもの | かたまりの肉・えび・いか |
弾力のあるもの | こんにゃく・かまぼこ・きのこ |
口の中でまとまらないもの | ブロッコリー・ひき肉 |
唾液を吸うもの | パン・ゆで卵・さつまいも |
においの強いもの | にら・しいたけ |
皮が口に残るもの | 豆・トマト |
誤飲しやすいもの | こんにゃくゼリー・餅 |
加えて1歳頃の幼児は、まだ同じ食品の中に食感の違いのあるものも異物と感じらますが、レタスチャーハンのようにしんなりとしてごはんとなじんでいれば食べられるし、わかめも酢の物は無理だけれどスープに入れてトロッとさせれば食べられる、ひき肉もそぼろごはんなら食べられることが多いようです。
この時期は野菜嫌いが特徴です。好みやわがまま以外にも、味や匂いになれないためや、経験不足、味覚の発達途上にあることも理由です。
野菜嫌いな子どもと向き合う4つのコツ
①しつけや栄養バランスにこだわりすぎない
苦手なものであっても、成長するうちに少しずつ食べられたり、慣れたりすることもあります。しかし、それがいつになるかわかりません。子どもの食欲には波があるので、1週間単位でおおよそのバランスを取っていくというくらいの考え方でいましょう。親の方が気にしすぎてイライラしたり、叱ったりし過ぎないよう、気長に構えていきましょう。
②罰を与えない
野菜嫌いで、叱られたり罰をうけたりした記憶は子どもの中に残り、嫌な思い出となった野菜や食事をまるごと嫌いになってしまうこともあります。
どうしても子供にこちらの気持ちを伝えたい場合は「食べてくれると嬉しい」「残されると悲しい」など感情をベースにして伝える方法のほうがお勧めです。
③親がすすんで野菜を食べる
「野菜を食べろ」という割に、親が食べていないのでは説得力がありません。まずは親が野菜をよく食べ、そのおいしさを楽しんでいる姿を見せることも大切です。
④とにかく褒める
子どもは褒められた経験から自分への自信や自己肯定感を身につけます。「苦手な野菜を食べた」という勇気が大きく成長するように励ましたいものです。
野菜を食べやすくするコツ
①アクや匂いを上手に取る
下ごしらえの際にアク抜きしたり、水にさらす、熱を加えるなどひと手間加えることで野菜は食べやすくなります。
②好きな食材や食感を取り込む
子どもの大好きなソーセージやチーズなど野菜を一緒にしたり、味付けをカレー味やケチャップ味・マヨネーズ味など工夫することで、子どもの慣れた味、好きな味にうまく調和させることができ、野菜に意識が集中しなくなり、ぐっと食べやすくなるようです。
また、子どもによって好きな食感も様々。「もっちり」が好きな子もいれば、「シャキシャキ」が好きな子もいます。子どもの好きな食材を取り込み、子どもの好みに合わせながら野菜を食べやすくしていきましょう。
③すりおろして見た目の抵抗をなくす
すりおろした野菜は子どもが大好きなハンバーグやミートボールなどと相性がよいです。
すりおろしにお勧めな野菜:レンコン・サツマイモ・しょうが・ニンジン・大根・玉ねぎ
子ども自身が野菜嫌いで悩んでいるときに親ができること
①ピンチヒッターの野菜を探す
たとえば「ピーマンが苦手」という子どもの場合、代わりに似たような成分の他の緑黄色野菜の「人参」「かぼちゃ」を食べられるなら、そちらを選択してもいいのです。苦手な野菜をカバーしてくれる「ピンチヒッター」の野菜をうまく利用し、栄養バランスを整えることも大切です。
子どもと一緒に料理をして楽しみながら食べる
子どもと一緒に料理をしながら、野菜のおいしさや料理の楽しさを知るきっかけを作りましょう
文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)