小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第53回 食中毒予防

 

 気候の良い時期になり、レジャーやイベントなど外で調理、飲食する機会が増える季節です。一方で、気温や湿度が高く、食中毒の原因となる細菌が増殖しやすい季節でもあります。せっかく楽しい時間を過ごしたのに、その後食中毒で苦しい思いをするのは避けた
いですよね。そのための予防ポイントをご紹介いたします。。

 

◎食中毒予防の3原則 食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」

 食中毒は、その原因となる細菌やウィルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「付けない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつけ
る」という3つのことが原則となります。

 「つけない!」ことが、もっとも重要! 菌がゼロであれば増殖しないので、つけなければ食中毒は起きません。

 

つけない:手指の洗浄、消毒

 手にはさまざまな菌やウィルスが付着しています。食中毒の原因菌やウィルスを家庭では食べものにつけないように、次のような時は必ず手を洗いましょう。
・調理を始める前
・生の肉や魚、卵を取り扱う前後
・食事をする前
・残った食品を扱う前

 

増やさない:迅速な調理・提供と低温保存

 細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。 食べものについた菌を増やさないためには低温で保存することが重要。肉や魚などの生鮮食品などは購入後
できるだけ早く冷蔵庫に入れ、迅速な調理と提供を心がけましょう。

※冷蔵庫に入れても菌はゆっくりと増殖するので、早めに食べましょう。

 

やっつける:加熱処理

 ほとんどの細菌やウィルスは、加熱によって死滅します。肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安心。特に肉料理は中心までよく加熱することが大切です。鶏肉のサルモネラ汚染率は20〜30%と言われていますので、特に鶏肉や卵は十分に加熱調理しましょう。
※食材の中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。

 以上の食中毒3原則を基本にしつつ、バーべキューや、お弁当持参などの時は、以下のことも気にかけましょう。

 

バーベキューでの生肉、生レバー、魚介

① 食肉や生の魚介類を加熱不十分な状態で食べないようにしましょう。生野菜、調理後の料理などと接触しないようにしましょう。
② 細菌・ウィルス・寄生虫は加熱により死滅します。食肉や内臓などは、中心部まで十分に加熱しましょう。
*ジビエ(鹿肉、イノシシ肉など)は、特にE型肝炎ウィルスや寄生虫により肉の内部まで汚染されている可能性があるので、中心部まで充分に加熱してから食べましょう。
③ 生ものを扱ったトング、箸などは、調理済みの料理を食べる時に使うものとは別に分けて使いましょう。

 

素手で扱う手作り弁当、おにぎり、サンドイッチ、ケーキなどの食中毒予防のポイント

調理する人の"手"を介して食品が菌に汚染されることが多い、素手で扱う「手作り食品(おにぎり、弁当、サンドイッチ、ケーキなど)」は黄色ブドウ球菌による食中毒に気をつけましょう!
*健康な人や動物の傷口(特に化膿した傷)や、皮膚、鼻、手指、喉、耳などに存在している菌。健康な人の2~3割が保菌しているといわれています。

 

<黄色ブドウ球菌食中毒のポイント>

① 食材に触る前、触った後は手をよく洗いましょう。
② 切り傷などのけがをした手で食材を触らない。または、絆創膏をしている場合も同じですが、調理しなければならない場合はビニール手袋をしましょう。
③ おにぎりを握るときはラップ、ビニール手袋などを使って直接素手で食品を触れないことをお勧めします。

 

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)