第49回 夏の暑さ対策
夏の暑さによる身体のストレスを低減させるためには、気温の低下のみを考えるのではなく、「体感温度」の改善をすることも重要です。
人が感じる暑さ:体感温度
人が感じる暑さは、気温だけでなく、湿度・風の強さ・日射や高温化した路面などから
放出される熱(赤外線放射)の違いに大きく影響されます。人間の肌が感じる温度の感覚を数値に表したものが体感温度です。体感温度が下がるのは人体から環境へ奪われる熱量が多くなることであり、実際に体を冷やすことになります。
紫外線の多いこの時期、体感温度への影響と紫外線は関係ありませんが、浴びすぎると急性反応としては日焼け、紫外線角膜炎、免疫機能低下、慢性的な暴露では皮膚にはしわ、しみ、良性・悪性の腫瘍、目の白内障など人体への影響があります。そのため、体感温度を下げるとともに、紫外線対策もしましょう。
体感温度を下げる
① 気温を下げる
室内であればエアコンを使って、気温を下げましょう。
② 湿度を下げる
湿度が10%下がると体感温度が1℃下がります。すると、室温を下げなくても快適に過ごすことが出来ます。
室内であればエアコンの「ドライモード」を使います。その他除湿器を使うなど工夫して湿度を下げてみましょう。
*室内で快適な湿度は40~60%とされています。40%以下になると目や肌、のどの乾燥を感じるだけでなく、インフルエンザウイルスが活動しやすくなります。反対に60%以上になるとダニやカビが発生するようになります。
この湿度、人間の肌感覚で計ることは難しいようです。制御機能付きのエアコンで常に温度がコントロールされているような室内では、湿度に鈍感になってしまいます。湿度計を使って快適な湿度を管理したほうがよいでしょう。
③ 気流を利用する
気流を利用することで、空気に放熱しやすくなったり汗が蒸発しやすくなります。
気流を利用する方法として、部屋の風通しをよくすることや、サーキュレーター、扇風機などで気流をつくりましょう。
部屋の中の風通しを良くする方法として室内であれば、向かい合う2面の窓や高低差のある高窓と吹き出し口を開けましょう。その時、風の入り口を小さく出口を大きく開けると空気の気流が生じやすくなります。
④ 放射を受けない、利用する
日陰に入る、よしずを立てる、日傘を使うなど日射を遮ると放射をうけにくくなります。また、日陰で打ち水をすると、地面が良く冷えるので、体からの地面への放熱がすすみます。
住まいにおける屋内外の熱の通り道、すなわち外気温の影響を最も受けやすい窓ガラスには、太陽光の直射による放射熱を遮る<遮熱機能>のある遮熱フィルムを張ったり、カーテンを遮熱カーテンにかえてみることもお勧めです。
引用:暑熱適応のまちづくり研究会(涼まち研)事務局 ホームページより
暑さ指数(WBGT)も気にかけましょう
熱中症の危険度を判断する数値として環境省がホームページで都道府県各地のデータを情報提供しています。
アドレス;https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
・暑さ指数(WBGT)
=人間の熱バランスの影響の大きい①気温の効果②湿度の効果③輻射熱の効果を取り入れた温度の指標です。
このWBGTが28℃を超えてくると、熱中症になるリスクが高くなってきます。自分の 住んでいる地域のWBGTを確認することもできますので、チェックしてみましょう。熱中症予防の為にWBGTの温度基準に対しての注意事項に沿った行動を出来るだけするようにしましょう。
日常生活に関する指針
温度基準 (WBGT) |
注意すべき 生活活動の目安 |
注意事項 |
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危険 (31℃以上) |
すべての生活活動でおこる危険性 |
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
厳重警戒 (28~31℃※) |
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 | |
警戒 (25~28℃※) |
中等度以上の生活活動でおこる危険性 | 運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。 |
注意 (25℃未満) |
強い生活活動でおこる危険性 | 一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。 |
※(28~31℃)及び(25~28℃)については、それぞれ28℃以上31℃未満、25℃以上28℃未満を示します。
日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)より
文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)