小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第47回  血液の尿酸値が高いと言われたら

 高尿酸血症は主に遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質があり、それに様々な生活習慣が加わることで発病します。
 尿酸値が上がりやすい生活習慣とは、過食やアルコールの飲みすぎ、運動不足、それによる肥満、精神的ストレスなどです。尿酸値が高いといわれた人は痛風や腎臓障害、尿路結石に気をつけるとともに動脈硬化予防のため生活面を工夫して血圧や血清脂質、血糖値も適切にコントロールしていきましょう。

【生活改善のポイント】

★肥満の予防、解消のために適正なエネルギー量を!

 内臓に脂肪が溜まった状態にあると、尿酸産生が促進されることや「インスリン抵抗性」(インスリンが効きにくくなること)となり、腎臓での尿酸の排泄が低下するため、尿酸値が上がってきます。
まず、摂取エネルギーを適正化させて肥満の予防、解消をさせましょう。

 

必要エネルギー量=標準体重×25~40kcal(体重1kgあたり必要なエネルギー量)カロリー摂取過剰になるとプリン体が作られます。食べる量に注意して上手に選択しましょう。
また、急な減量で細胞が壊れ核酸からプリン体が放出されることからも尿酸値が上がります。あくまでも減量は「少しずつ」「ゆっくり」が重要で大切です。

 

  • 尿酸とプリン体の関係
  •  「プリン体」とは、食品中や体内の細胞の中にある核酸の構成成分で、これが体の中で分解されてできる燃えカスが「尿酸」。言い換えれば、尿酸のもととなるものがプリン体ということです。

 

★プリン体の多いものを控える

 高プリン体食品を極力控えることは基本ですが尿酸のもととなるプリン体は、多かれ少なかれほとんどの食品に含まれています。プリン体の摂取量を減らすには、食事全体量を適度に減らしながら、「高プリン体」食品の過剰摂取は控え、たまに少量を楽しむ程度にしましょう。プリン体量が多くても1回に食べる量が少ないものもあります。プリン体の量をチェックするより1食あたりどのくらい含まれるかチェックするとよいでしょう。

 「高尿酸血症・痛風のガイドライン第2版」(日本痛風・核酸代謝学会)」では、1日のプリン体摂取量を400mgまでとしています。

 

 

★フルクトース(果糖)のとりすぎに注意

  フルクトースは果糖とも呼ばれ、主に清涼飲料水や果物に含まれています。これらの過剰摂取は、尿酸産生を促進させます。
 清涼飲料水には果糖ブドウ糖液」「ブドウ糖果糖液」という表記で多くの飲料に含まれていますので飲みすぎには十分な注意が必要です。

 

★アルコール

 尿酸値が上がらないように、プリン体が多いビールの替わりに、プリン体ゼロの発泡酒や焼酎を飲めば安心、とは言えません。
アルコール自体が体内で尿酸が作られるのを促進し、さらに、尿酸が尿から排出されるのを妨げるので、アルコール摂取量が多いほど痛風の発症率は高くなります。
 尿酸値を上げない1日の目安量はビールで中瓶1本(500㎖)、日本酒なら1合(180㎖)程度といわれています。

 

★適度な運動を心がける

 ウォーキングやジョギングなどの有酸素
運動がお勧めです。

・ベンチプレスやウェイトトレーニング、短距離走などの無酸素運動はむしろ血清尿酸値が上昇するので控えましょう。

・激しい運動は筋肉内でプリン体の分解を促進し、尿酸値を上げる可能性があります。

 

★尿酸を下げる食品をしっかりとる

 ・野菜・海草・きのこ類しっかりと!肉類は控えめに
 尿をアルカリ性にして尿酸を排出しやすくするために海草や野菜をしっかりたべましょう。

1野菜料理は毎食1品以上
2サラダなら両手1杯、小鉢ものなら1杯以上、炒め物なら両手平ら1杯以上
3肉類はとりすぎないために1食では一品とし、毎食魚・肉・大豆類といった風に種類を変える

 

 

★水分をしっかりとりましょう!

  尿酸のほとんどは、尿から排泄されるので、水分を多くとり、尿量を増やし尿酸の排泄を良くし、尿中の尿酸を薄めるようにしましょう。
 そのため、水分を1日2Lはとるように。その際、水・お茶類でエネルギーの無いものを選びましょう。

 

牛乳・乳製品は1日200g目安にとるようにしましょう

  牛乳や乳製品は、尿酸値を下げ、痛風のリスクも増加させないことがわかっています。これらに含まれるカゼインとラクトアルブミンに尿酸排泄促進効果があると言われています。1日200㎖を目安にとるようにしましょう。

 

★塩分は控えめに!

 濃い味付けの料理は、主食を食べ過ぎたりお酒を飲み過ぎたりとエネルギーオーバーを引き起こしがちです。肥満予防、改善の為にエネルギー適正摂取につなげるため、塩分は控えめにしましょう。

 

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井 エリサ(さかいえりさ)