小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第46回 離乳初期(5~6か月)の上手な進め方

 赤ちゃんは生後5か月を過ぎると、殆どのお子様は母乳やミルクだけではカロリーやタンパク質、鉄分などが不足してくるため、「離乳食」が必要になります。少しずつ慣らしながら食べ物から必要な栄養を摂れるようにしていきます。赤ちゃんのあごや舌の動きの発達に合わせて、飲み込む、噛む練習をして、少しずつ固形食に移っていきます。

離乳食を始める時期

 両親や兄弟にアレルギー疾患(花粉症は除く)がある人がいると、子どもがアレルギーに罹患するリスクがあると言われています。食物アレルギーが注目され、医療者の中でも、母乳以外のものは1歳までは与えない方がよいという考えが出てきました。しかし、アレルギーの専門家はリスクのある赤ちゃんであっても、離乳食を始める適切な時期は生後5~6か月に開始することを推奨しています。
 離乳食を遅らせることは、かえって腸内細菌叢への影響やアレルゲンにさらされる機会が遅れてしまい、過剰な免疫反応を起こさないようにする力が得にくくなります。
食べ方の目安
 離乳の開始では、子どもの様子をみながら、1さじずつからはじめ、母乳や育児用ミルクは飲みたいだけ飲ませます。離乳がすすむにつれ、食事のリズムをつけ、生活リズムを整えていくようにします。
この時期は、食べ物を舌で奥に送り、ゴックンと飲み込むのが精いっぱい。滑らかでないと飲み込めません。最初はうまく唇を閉じられず、口の端からこぼれますが、その都度すくって口に入れてあげましょう。

食べるタイミング
 離乳食を食べるタイミングは、初めは授乳の前でも、途中(右の授乳が終わって左の授乳に移る前)などでも、後でもよいです。大切なのは落ち着いて食べられる状態であることです。

食事環境
 食べる準備をしているときに、赤ちゃんが追視をし、あやすと笑っているときに食事を始めるとよいでしょう。「食べる事=楽しいこと」をつたえましょう(テレビはつけずに、赤ちゃんを見ながら、話しかけながら食べさせてあげます。)

食事の目安
①まずは1さじから。最初の1週間の進め方

回数
 1週間は慣らし期間。1日1回のペースで。最初はドロドロ状の10倍がゆ小さじ1杯程度をスプーン4~5さじにわけ、初日は1さじから始めましょう。慣れてきたら、小さじ2杯程度に徐々に増やします。

食べさせる量 
 あまり量はきにせず、最初は食べる分だけを。

食材
 最初の1週間は消化吸収のいい米やイモ類などの糖質を与えましょう。

*離乳食後の母乳やミルクはほしがるだけ飲ませましょう。
*のどが渇いて離乳食を食べたがらない場合は先に母乳やミルクを少し与えるなどして様子を見ながら対応しましょう。

②少しずつ食材を増やしましょう。2~4週目の進め方

① 最初は糖質と野菜を組み合わせて
 離乳食を始めて2週目に入ったら糖質だけでなくそろそろ野菜や果物などのビタミン類もはじめましょう。初めての食材のときは1種類ずつ小さじ1からはじめて慣らしていくのが基本です。そうすることによって、もしアレルギーが出た場合に原因となった食材を特定することもできます。食べた後に皮膚やうんちに変化がないか様子をみながら進めましょう。
② 次のステップでたんぱく質をプラス
 3週目に入ったらそろそろたんぱく質を始めてもいいでしょう。たんぱく質は消化しにくいので赤ちゃんの内臓に負担をかけない消化のいい食材(豆腐・白身魚・湯通ししたしらす干・固ゆで卵の黄身・プレーンヨーグルトなど)を選んで1さじから始めます。アレルギーの心配からたんぱく質を与えることに抵抗があるかもしれませんが、医師などに止められていなければ、少しずつためしてみましょう。

 

*アレルギーを起こしやすい食材をはじめて与えるときの大事な3か条*

① 食材は1種類ずつ与えましょう
一度に複数の食材を与えるとアレルギーの症状が出た場合、原因となった食材を特定できません。
② まず1さじ与えて様子を観察
1さじ与えて10~15分間様子を見て、また少量を与える、という過程を数回繰り返して反応を確認しましょう。
③ なるべく午前中に与えましょう
アレルギー症状がでるまでに長ければ1日かかります。症状が出たとき、すぐ受診できるように午前中に与えたほうが安心です

 

成長の目安
 食事量の評価は成長の経過で評価します。具体的には、母子健康手帳などの成長曲線のグラフに体重や身長を記入して、成長曲線のカーブに沿っているかどうかを確認します。体の大きさや発育には個人差があり、一人ひとり特有のパターンを描きながら大きくなっていきます。
 体重増加がみられず、成長曲線から外れていく場合や、急速な体重増加により成長曲線から大きくはずれるような場合は、医師に相談して、その後の変化を見ながら適切に対応します。

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)