小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第42回 インフルエンザ予防の食事

 だんだんと寒くなってきましたね。インフルエンザにかかりやすくなるこの季節、予防のためにマスクをしたり、手洗いうがいなど、インフルエンザの予防接種は重症化を防ぐために大切です。特に、高齢者や幼少児は接種しておきましょう。また、全身の免疫バランスを整えて、風邪をひきにくい身体にするために十分に睡眠と休息、栄養をとりましょう。

免疫バランスを整える栄養素
ビタミンD

 免疫を高めるビタミンの一つ、ビタミンDは、免疫細胞の活性化や、抗菌ペプチド(細菌やウィルスへの抵抗力を高める)産生刺激作用などがあり、免疫を強化する重要な役割があります。
 しかし、最近ではビタミンD不足の人が多いようです。身体でどのようにビタミンDを得ているかというと2つあり、1つ目はコレステロールの前駆物質で皮膚に貯蔵されている7₋デヒドロコレステロールから日光を浴びて作っている、2つ目は食事からです。それらは、腎臓や肝臓で加工されて、活性型ビタミンDとなってから、いろいろな働きをしてくれます。しかし、紫外線対策をしすぎていること、ビタミンDが多く含まれる魚の摂取量が少ないことが原因で不足しがちになるようです。極端に紫外線を避ける生活はビタミンD不足の原因となります。更に、冬になるとヒトの活動量が減り、日光に当たる機会が減り、皮膚でビタミンDを作る量も減ってしまうと言われています。

対策

① ビタミンD豊富な食品を摂り入れる
 ビタミンDが多く含まれているのは、魚類と魚卵、キノコ類、卵類です。魚は、特に紅鮭、サンマなど脂肪分の多い魚にビタミンDが多く含まれています。ビタミンDは熱に強く、焼く、煮る、上げるといった調理をしてもほとんど分解されないので、調理に手間をかけなくても、栄養価がほとんど変わりません。缶詰や加工食品などで手軽に摂るのもお勧めです。
② 適度な日光浴でビタミンDチャージ
 ビタミンDは日光に含まれる紫外線を浴びて生成されます。しかし、長時間強い日差しに当たる必要はありませんし、手のひらだけで十分です。ただ、ビタミンDを作るのに必要な紫外線Bはガラス越しや布越しではカットされてしまうので、直接日光に当たりましょう。日光に当たることでできるビタミンDの量は季節や、時間帯、日照時間、雲の量、煙、霧、皮膚のメラニン量、日焼け止めなどが関係してくるので、一般的なガイドラインはないようですが、厚生労働省「統合医療」情報サイトが参考にしている研究者の文献によれば、少なくとも週2回、午前10時~午後3時の間に5~30分程度日焼け止めなしで日光に当たることで十分なビタミンD合成が行われるとあります。

 

ビタミンA、C、E、タンパク質

 ビタミンやタンパク質をバランスよく摂取しましょう。
 粘膜を強化するビタミンA(特に緑黄色野菜)、ウィルスに対する抵抗力を高めるビタミンC(柑橘類・いちご・キウイなど)、病気や感染源と戦うための抗体作りのためのタンパク質(肉や・魚介類・大豆製品・卵類・牛乳・乳製品)、揃えて食事をしましょう。

 

インフルエンザにかかってしまったら

① 栄養をしっかりとる
 具合が悪いと、お粥だけといった食事になりがちですが、それだけだと、治すための栄養素が足りません。栄養価があるもので、消化が良く食べやすいものを摂るようにしましょう。
 お粥に柔らかく煮た野菜や卵、釜揚げシラスなど加えたりして、雑炊のようにするのもお勧めです。インフルエンザにかかってしまうと、感染源と戦うために、いろいろな代謝が進んで、身体の中にある栄養素が消耗・消費されて足りなくなります。それを補うためにも色々な栄養価のあるものを食べることが大切です。
② 保湿・保温
 加湿器で部屋を湿度60~70%に加湿しましょう。
③ 睡眠時間の確保
 修復ホルモンや成長ホルモンは眠っている間に出るので、睡眠時間が少ないと修復ホルモンが出ないまま次の活動に入ってしまって壊れた細胞を治すことなく、睡眠不足が積み重なってしまいます。かかってしまってからはもちろん、予防するためにも、食事だけでなく、睡眠時間をしっかりとっておくことが大切です。

 

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井 エリサ(さかいえりさ)