小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第39回 食中毒対策

 食中毒は1年を通して発生しますが、梅雨から夏にかけて特に気にかけたいのが細菌性食中毒です。気温と湿度が高くなると細菌の増殖が活発になるため、より注意が必要です。食中毒を防ぐには、調理や食事の時に食品を細菌の汚染から守る「つけない」、細菌に増殖する機会を与えない「増やさない」食品中の細菌を加熱や消毒によって「殺す」の三原則が基本です。

★食中毒要注意ポイント★

30分で菌が増殖!買い物したら寄り道は厳禁!

 お店で食材を買う時から食中毒対策はスタートします。

買い物中
・常温で食品を持ち歩く時間が長いほど、細菌が増殖する危険性もアップ。生鮮食品や
冷凍食品は、買い物の最後に購入するなど一工夫を
会計後
・肉や魚はパックごとにビニール袋へ入れましょう。肉や魚の汁が他の食品に付着し、
ウィルス・細菌感染するのを防ぎます。
・氷や保冷剤を貰って、食材の温度を上げないようにしましょう。
保存の時
・お店を出たら、できるだけ早めに帰宅して、買ったものをすぐに冷蔵庫へしまいましょう。冷蔵庫の中は、庫内の冷気を循環させるため中身は容積の7割程度までに。

 

調理の時

生の肉・魚などを切った調理器具で生野菜を切らないように!
生の肉や魚についた食中毒菌が、調理器具や手指などを介して他の食品を汚染するのを 防ぐため、包丁とまな板は肉用・魚用・野菜用別々に揃えて使い分けるようにすることが望 ましいです。
常温に出しっぱなしの2日目のカレー
調理後、すぐに食べない場合は粗熱をとって(指で触ってやや暖かく感じる程度まで冷ますこと)、小分けにして冷蔵・冷凍保存を。

肉の加熱不足・生食に注意を!
生肉は、食中毒の原因となる細菌に汚染されていることがあるので、必ず中までし っかりと火を通しましょう。
 肉を焼く箸と食べる箸は区別し、調理に使ったまな板や包丁もしっかり洗浄しましょう。
 特に抵抗力の弱い子どもや高齢者、妊娠中の人は重症化する恐れがあるので、生食は控えましょう。

 

食事の時

なるべく食事の直前に調理・配膳し、室温に長く放置しないように

お弁当作りの注意点

おかずの選び方に注意!湿気と水分管理
 食材はしっかり火を通すことと共に、よく冷ますことも大切です。冷めかけの温度の時に細菌が繁殖しやすくなるので、おかずの熱や湿気がとれるまで、お弁当のフタは閉めないようにしましょう。

傷ませない。おかずを詰める時のコツ
 容器のなかでおかず同士がぶつかり、形が崩れるといたみやすくなり
ます。アルミのカップに入れたり、バランで仕切ったり、おかずが触れ合わないようにしましょう。
 殺菌効果のある梅干しは、ご飯の上にのせるようにしましょう。
保存温度にも気をつけて。お昼まで安全に保存するために
 お弁当箱と一緒に冷却材(保冷剤)を入れて、熱さで、お弁当が痛むのを防ぎましょう。保冷剤と一緒に包むときには、お弁当箱の上に置くのがおすすめ。冷気が下に流れ、効率的に冷やすことができます。
 また、一口サイズのゼリーなど凍らせて詰めることで冷却材として活用することもできます。デザートも楽しめ、一石二鳥です。

★食中毒かも‥‥と思ったら★

  • !こんな症状があるときは医療機関へ!
  • ・下痢が1日3回以上起こる
  • ・激しい腹痛がある
  • ・体がフラフラする
  • ・意識が遠くなる
  • ・尿の量が減る、12時間以上でない
  • ・下痢便に血液が混ざる
  • ・嘔吐が止まらない

上記のような症状が一つでもあり、食中毒の疑いがある場合は、医療機関を受診し、症状が 出始めた時期、詳しい症状、食べたものなどを医師に伝えましょう。
嘔吐があるときは、喉に詰まらないように右横向きに寝て、脱水症状を防ぐために少量ずつ頻回に水分補給をします。また、下痢止めや吐き気止めを服用すると、細菌などを体外に排出しようとする体の反応を抑えることになり、症状が悪化する場合があるため、自己判断による服用はやめましょう。子どもは小児科、大人は内科や感染症科で診察をうけられますが、まず、かかりつけの医師に相談をしましょう。

★感染予防★

  • ・ 吐物や下痢で汚染した衣服はすぐに着替えて洗う
  • ・ 手洗いを十分に行い感染の拡大を防ぐ
  • ・ タオルを使いまわさないよう個人別にするか、使い捨てのペーパータオルにする。
  • ・ 汚物のついた、床、布団、便器や水道の蛇口なども丁寧に水で洗います。消毒液には次亜塩素酸ナトリウム液、なければ家庭用ハイター(*次亜塩素酸ナトリウムが含まれている塩素系のものを使うように)を薄めて、布巾で絞って拭き取ります。その際、手袋とマスクをつけることを忘れないように。
 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)