小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第38回 花粉症対策

 年々増加する飛散する花粉や黄砂。花粉症の方はこのシーズンになるとくしゃみ・鼻水・目のかゆみ、時には微熱など嫌な症状が出てつらいですね。生活上の対策ではマスクをつけたり、外出後は手洗い・うがい・洗顔などを行うなど、食事の面からは花粉症の症状軽減に期待ができる栄養を積極的に摂り、花粉の季節を乗り切りましょう。

 

 花粉症の人は体内の免疫システムが過剰になった結果、全身のあちこちで炎症が生じています。花粉症は完ぺきに治すというわけにはいきませんが、食生活を見直し、体質を改善することで、和らげることができます。
 そのポイントは
① 過剰になった免疫システムバランスを回復させる(腸内環境の改善)ものをとる
② 炎症を抑制するものをとる
③ ビタミン・ミネラルをとる
 です。ただ、この食事療法は症状が出る時期だけでなく、年中行うことが大切です。

 

①過剰になった免疫システムバランスの回復(腸内環境改善栄養素)

 体の中で、最も免疫細胞が多く存在する場所は腸です。ビフィズス菌などの善玉菌で腸内環境を整えると免疫バランスが調整され、アレルギー反応が抑えられるといわれています。善玉菌を摂ることはもちろん重要ですが、さらに、その餌になる食物繊維やオリゴ糖も取り入れることで、善玉菌は元気になり腸内環境は更に改善します。

・善玉菌の摂取:乳酸菌(ヨーグルト・乳酸菌飲料、キムチ・ぬか漬けなどの発酵食品)
・善玉菌の餌の摂取:食物繊維(野菜・豆・海藻・きのこ類・ナッツ類など)
             :オリゴ糖(バナナ・はちみつ・きな粉など)

 

②炎症を抑制するもの

・EPA・DHA

 アレルギー症状を引き起こす炎症物質を減らす働きがあり、粘膜の腫れを緩和し鼻づまりを改善するといわれます。あじ・さば・いわし・さんま・ぶり・などの青魚やさけ・いくらなどに多く含まれています。しかし、EPA・DHAは傷みやすいのでなるべく新鮮なものを選び、買ってきたら早めに調理しましょう。

・α―リノレン酸

 α-リノレン酸も花粉症の症状を緩和します。えごま油やしそ油に含まれますが、熱に弱く傷みやすいので、ドレッシングを作る際に混ぜたり、マリネに加えて生食でとるようにし、ビタミンA・C・Eを含む野菜と一緒にとりましょう。また、身体によい油だからといってとりすぎは禁物です(カロリーが高いため)。肉や魚などの食品からとる脂肪分もあるので、使用量は1日合計、大さじ1~2杯くらいにしましょう。

③ビタミン・ミネラルをしっかりとる

・粘膜の健康維持

 代表的な栄養素としてビタミンB6、亜鉛は免疫機能を正常に保つのに役立ち、ビタミンA・C・Eは皮膚や粘膜の健康を維持し、アレルギー症状を抑えるのに役立ちます。

ビタミンB6を多く含む食べ物 亜鉛を多く含む食べ物

 

 以上のような栄養素を積極的にバランスよくとるには、まんべんなくいろいろな食材を摂ることです。
 逆に腸内環境を悪化させ、免疫システムを崩すもの、炎症物質の材料になるもの(肉の脂肪、甘いもののとりすぎ、過度の飲酒、カフェインのとりすぎ)は控えた方が良いです。

 

文責/桑原医院 管理栄養士 坂井エリサ(さかいえりさ)