小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第11回 冷やし素麺(そうめん)の青竹盛り

~手づくりの麺つゆで~

奈良時代に中国から伝来したといわれるそうめん
五節句のひとつとしての七夕祭も中国から伝えられました。天の川に見立てたそうめんがおなじみです。質のよい小麦粉から作る手延べ素麺つくりも、今日まで受け継がれてきました。

 

みんなに親しまれるそうめん

素麺といえば"夏の冷そうめん"と思っていたら"手延べそうめん料理冬仕立て"のコンテストで、若者挑戦の優秀賞レシピが目に飛び込んできました。和・洋・中華風と、自由な味や盛り付けで、年中楽しまれる素麺料理が日常的に広まって来ました。私が出会った素麺のルーツは、子供のころ、干しエビと干し椎茸(ドンコ)で取った出汁で作った麺つゆの味です。時には青竹を切った器に盛り、深めの皿鉢(さはち)に入れて氷で絞めてみると、味も美しさも格別です。薬味は写真のように季節のものを、好みで選んで、麺つゆを付けながら啜ります。では、定番の"手づくりの麺つゆ"で、冷やし素麺を作ってみましょう。

材料

冷やし素麺(そうめん)の青竹盛り

素麺(乾)………………………5把(250g)
干し椎茸(出汁取り後の)…………3枚(約12g)
  砂糖………………………………大さじ1(8g)
  トレハロース……………大さじ1(10g)
  濃口醤油…………………………大さじ1(15ml)
  椎茸のもどし汁…………………鍋ひたひた
卵………………………………1個(正味50g)
  塩…………………………卵の1%(0.5g)
  砂糖………………………………卵の5~10%(2.5g~5g)
  澱粉……………………………卵の1.5%(0.75g)
  水…………………………卵の1.5%(0.75ml)
完熟トマト………………………小5切れ(正味80g)
青葱(さらしネギ)………………適宜(10g)
土ショウガ……………………………適宜(10~20g)
青柚子又はスダチ…………………皮のすり卸し
*麺つゆ
  みりん……………………………カップ1/4強(55ml)
  濃口醤油…………………………カップ1/4(50ml)
  **ドンコと乾エビの出汁………カップ1(200ml)
氷……………………………………適宜

**ドンコと干しエビの出汁(作り置き用の分量)
  干し椎茸(ドンコ)………………5個(約25g)
  干しエビ(なければ削り節)……大さじ山1杯(10g)
  水…………………………………カップ5杯(1リットル

準備

  1. **干し椎茸(ドンコ)と干しエビの出汁を取ります。
    ①水1リットルに分量のドンコと干しエビを入れ、冷蔵庫で3時間戻します。
    ②①を煮たてて漉します。
  2. *「麺つゆ」を作ります。
    ①鍋に分量のみりんを入れて沸騰させてアルコールを除きます。
    ②①に濃口醤油と「ドンコと干しエビの出汁」を加えて煮立ったら火から下ろし冷やしておきます(麺つゆは10日間は冷蔵できるので、多めに作っておけば重宝)。

作り方

  1. 加役(かやく)を作ります。
    ①干しシイタケの甘辛煮…出汁を取った後の干し椎茸を薄切りにし、分量の砂糖、トレハロース(なければ代わりに砂糖を小さじ1杯)、濃口醤油、椎茸の戻し汁でさっと煮て薄切りにします。
    ②錦糸卵…卵をよく溶いて裏ごしを通して均質にします。塩,砂糖,同量の水で溶いた澱粉を加えてよく混ぜます。卵焼きなべ又はフライパンに油を敷いて火にかけ、油をふき取ります。卵液を落としてみてジュットと音がしたら火を弱め、卵液を鍋の中心部に流し入れ、全体に広がるようになべを回わし、余分の卵液は器に戻し、直ぐ弱火に掛けます。表面 が固まったら裏返して鍋に当て、すぐ乾いたまな板に取ります。細く切って錦糸卵にします。
    ③完熟トマト…薄い櫛形に切って冷やしておきます。
  2. 薬味を用意して冷やしておきます。
    ①青ネギは薄い小口切りにしてさらします。
    ②土ショウガは皮をむいて水にさらして後、卸します ( 冷凍保存しておけば重宝)。
    ③青柚子又はスダチは卸しとササラなどの準備をします。
  3. 素麺をゆでます。
    大きめの鍋で沸騰した湯の中にそうめんをさばきながら入れ、次に沸騰したらふきこぼれない程度に火加減して1分半ゆでます(または袋の表示どおりにゆでます)素早くザルに移し、水を替えながら完全に冷めてから、氷水でもみ洗いしてヌメリを取り、ザルに小分けしながら上げて水気をよく切り冷やしておきます。
  4. 盛り付けます。
    盛り付け鉢(ガラス鉢や竹鉢など何でも)に、ゆでた素麺を盛り、加役(かやく)を飾り、深めの皿鉢(さはち)に並べて氷を敷き詰め、しっかりと締めます。 麺つゆをつけ、好みの薬味を振りかけながら啜ります(お代わりの素麺も別の皿鉢(さはち)に用意して、楽しい演出も)。

ポイント

  1. 麺つゆ:出汁に干し椎茸(どんこ)と干しエビを使います。干しエビがなければ椎茸だけでもよいです。麺つゆは作りたてより、一晩置いた方がとコクが出ます。
  2. ゆでかた:大きめの鍋で、袋の表示どおりにゆでます(ゆですぎない)。
  3. 薬味(加役):シンプルな料理だからこそ、椎茸も、卵も、葱も、切ることに気を入れて、薄く、細く。青柚子・スダチは麺つゆに素麺をつけた上に皮を卸して振りかけます。「しょうが」と「青柚子・スダチ」は、どちらかの香りを選びます。

応用

  1. 糖尿病食やメタボ対策など、ヘルシーそうめんにする場合、手延べそうめん(乾)1把50gが174kclです。ご飯1膳100g(2単位)相当のそうめんは約40g(ゆでると約3倍の120g)です。
  2. そうめんは細いほど、濃いめんつゆが美味しく感じられます。好みによって、濃ければ氷を入れたり出汁で割って薄めましょう。
  3. 冷やしそうめんに一品添えたいとき、おすすめは、
            "野菜のヨーグルトソース掛け"
    「しそ油マヨネーズ」を使ったヨーグルトソースで季節の野菜を和えた小さなオカズです(掲載材料は、1回に作りやすい分量です)。
    ①「しそ油マヨネーズソース」を作っておきます。余りは清潔なガラスビンに保存(「しそ油」は、えごまの種子から絞った植物油で、アルファー リノレン酸を多く含み、魚のEPAやDHAの仲間です。健康維持に大切な役割をすることがわかってきました)。
    ②ヨーグルトソースの材料を合わせて冷やしておきます。
    ③季節の野菜を下ごしらえして、②で和えます。焼き魚とこれらを組み合わせれば、栄養素バランスの良い一食の献立にもなります。

 

◆ しそ油マヨネーズ:えごま油マヨネーズ〈基本)◆(作り置き 100g分)

青柚子又はスダチ…………………… 皮のすり卸し
えごま油(しそ油)……………………… カップ1/2 85g
酢(りんご酢,米酢など)………………… 大さじ1/2 8g
卵黄……………………………………… 1/2個 9g
白コショウ……………………………… 適宜
煉り辛子(洋辛子)……………………… 小さじ1/2 3g
ハーブ塩または塩……………………… 小さじ1/2 2g

◆ ヨーグルトソース (ヘルシーなソース) ◆

プレンヨーグルト……………………… 大さじ5杯 75g
しそ油マヨネーズ……………………… 大さじ3杯 45g
飲むヨーグルト………………………… 大さじ2杯 38g
すりおろしニンニク…………………… 1/2かけ 好みで

メモ

定番のシンプルな冷やしそうめんですが、一晩寝かせた方がコクが出る、麺つゆの奥深さ。幾つレパートリーがあっても嬉しいそうめん料理。主食としても、小さなオカズとしても、行事食といわず、年中楽しめるそうめん料理を、これからも、みんなで楽しく工夫しながら伝えて行きましょう。

文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)