小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

管理栄養士のレシピ集

第10回 筍(たけのこ)入りさっぱりチマキ

筍(たけのこ)入りさっぱりチマキ~筍を美味しく保存する~

今年も、春風が音を残して吹き抜ける朝の竹林から掘り出された一本一本の筍。 茹でた筍の先端部は、椀ダネや木の芽味噌和えなどに、根元は薄切りか卸して揚げ物にと想いを馳せながら、部位によって切り分けます。 筍の中ほどが煮物や 炒め物にしても食べきれないときなど、あなたはどうしていますか。毎日水を換えたり、塩漬けや酢漬けにしたり、 そのまま冷凍保存したり、沢山料理してみんなにも差し上げたりと、色々な声。 もし、筍の水換えを忘れて筍が溶ける心配があるときや、毎日沢山の筍料理が続き、飽きそうなときなどにも、ひと手間かけた「筍入りさっぱりチマキの具」を 作ってみてはいかがでしょう。 写真のように、春野菜を取り合わせて刻んで調味し、フリーザーパックに入れて冷凍すれば、1~2ヶ月は保存でき、手早く混ぜご飯の具や、そのままオカズに もなり、重宝です。 では、「筍入りさっぱりチマキの具」を混ぜた中国風チマキを作ってみましょう。

材料

筍(たけのこ)のさっぱりチマキ

◆ 筍(たけのこ)入りさっぱりチマキ 基本レシピ材料(9個分) ◆
・もち米……………………… カップ3杯(500g)
・黒米(古代米)…………… 大さじ3杯半(40g)
・塩(蒸し上がる前の打ち水用) 1つまみ(1g)
・茹でタケノコ(部位は中ほど) 150g
・細めのフキ(茹でて筋を取った物) 1本(60g)
・新ゴボウ………………… 1本(正味100g)
・新ニンジン………………… 1本(正味100g)
・キクラゲ(乾燥)…………… 乾燥10g(戻して約70g)
・鷄ささみ…………………… 1本(60g)
調味料(具の下煮用)
・2番出汁…………………… カップ1杯半(300ml)
・日本酒……………………… 大さじ2杯(30ml)
・濃口醤油…………………… 大さじ2杯(30ml)
・砂糖……………………… 大さじ2杯(20g)
・竹皮(8~10cm巾の物)…… 9枚
用具 : 蒸し器, ふかし布, 布巾

準備

  1. 筍を前日までに下茹でします
    (1)筍についた泥をタワシで洗い落とし、先端を4~5cmほど斜めに切り落とし、皮の中央に1cmの深さに縦1本、包丁を入れます。
    (2)外側の皮1~2枚をはずし、大きめの鍋にたっぷりの水と筍を入れ、米ぬかを1握りと唐辛子を1~2本加えて強火で茹でます。煮立ったら弱火で1時間茹でて(根元の太い部分に竹串を刺してスーッと通る程度)、火を止めて冷めるまでそのまま置きます。
    (3)(2)を切り目に沿って皮をくるりとむき、流水でよく洗います。
  2. フキは塩で板ずりし、3分くらい茹でて水に取り、皮を取ってさらに水に浸けてアクをとっておきます。
  3. もち米と黒米(古代米)は、別々に洗い、3時間以上水に浸しておきます。

作り方

さっぱりチマキの包み方

  1. 茹で筍の中ほどの部位を1cmの細の目に切ります。
  2. 茹でたフキを1cmの輪切りにします(太ければ縦に割って)。
  3. 新ゴボウは、皮は剥かずにタワシで砂を落とし、縦四つ割りにして5mmに切り4~5分水にさらします。
  4. 新ニンジンは7mmの細の目に切ります。
  5. キクラゲは水で戻して1cmくらいに刻みます。
  6. 鶏ささ身は、スジを取って1cm角に切ります。
  7. 1.~6.を、分量の出汁と調味料で柔らかく煮ます。
  8. 蒸し器に、水切りしたもち米と黒米を混ぜて入れ、中央部を少し低めにして広げ、強火で約45分蒸します(黒米の浸け汁 は、色が黒くなるので今回は使いません)。10分ほどしたら、もち米の浸け汁を手で打ち水します。10~15分おきに2~3回繰り返し、蒸し器の縁のも ち米がふっくらとしたら蒸しあがりです。最後の打ち水を塩水にすると、美味しくできます。
  9. 8.をすし桶などに移し、7.を混ぜ合わせて9等分します。
  10. 竹皮はきれいな布巾をぬらして、包む直前に拭きます(早く拭くと丸まってしまうので注意)。
  11. 竹皮で、写真のように三角に包み、蒸し器でさらに10分蒸して出来上がり。一度に食べきれないようなときは、冷凍保存(1~2ヶ月)できて重宝です。冷凍したものは、ひとつずつラップで包んでレンジに掛けます。

ポイント

  1. 筍の下ゆでは、皮と糠または米のとぎ汁で風味を逃さず、唐辛子でエグミを打ち消す方法です。
  2. 具を細かく切ります(1cmより大きくなると、ご飯に混ざりにくくなります)。赤いニジンは小さめ、堅いゴボウも小さめに。新野菜の香りをあびて楽しく刻みましょう。
  3. 具材の割合は適宜でよろしいが、全体では500g(米と同重量まで)を目安にします。
  4. 切った野菜は、煮ながらアクを取ります(水に浸け過ぎると、うま味も少なくなります)。
  5. もち米は強火で蒸します。
  6. キクラゲは、シイタケよりも冷凍保存に向きます。歯当たりも良く、欠かせない食材です。

応用

  1. 調味料は好みで加減してください。基本レシピより薄味に仕上げておき、ゴマ塩など振りながら各自の体調に合わせると、みんなで楽しめます。
  2. 竹皮がない時は、型で抜くか、むすびにしてもよいです。
  3. 多めに作って冷凍保存しておき、ハイキングなどに、飲むヨーグルトなどと一緒に持参すれば、栄養的な相性もよくなります。冷凍庫から出し、ラップで全体を包んでレンジに掛けて持参すれば衛生的です。
  4. 具だけ小分けして冷凍し、ご飯のオカズの一品にそのまま使えて重宝です。
  5. 普通のご飯を炊き、具を温めてから混ぜると、素早く炊き込み風ご飯になります。

メモ

タケノコは旬日つまり十日以内が食べ頃なので旬の竹「筍」の字を当てるとか。春は、マダケ・ハチク・マガリタケなどと、食卓を賑わしますが、筍の美味しい保存法を工夫しながら、筍を味わい尽くしましょう。しかし “ばっかり食べ” をしていると、シュウ酸(筍のエグミ成分一つ)がカルシウムの吸収を妨げます。多食する場合はカルシウムの多いものと組み合わせると良いでしょう。筍とワカメを組み合わせた伝統料理の「若竹煮」は理に適っています。「筍入りさっぱりチマキ」とヨーグルトの組み合わせも同じです。 ほんのりとした甘味の中に旨み成分を多く含み、柔らかく、それでいて食物繊維が豊富で歯触りがよい健康的な春野菜の筍。生のままの野性的な味から、茹でたものの穏やかな味まで、子ども達にも伝えていきたい伝統野菜です。

文責/桑原医院 管理栄養士 鎌田澄江(かまだすみえ)