小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

医院からのお知らせ

8.20広島八木災害報告(第110報)

2017.11.30
8.20広島八木災害報告(第110報)

 11月23日、8.20災害の被災地の1つである、私の部落(上楽地部落)の〝こまつり″がありました。〝こまつり″とは、部落の鎮守さまである大国神社に農作物の豊作に感謝を捧げるお祭りです。毎年この時期に、獅子舞が出て、部落の一軒一軒をまわってお祝いをします。8.20災害の時に12人の部落民が亡くなりました。その慰霊碑も大国神社のあまり広くない敷地に建てれれております。今年も、慰霊碑に参拝する行事を行いました。

 11月16日、当地の安佐学校保健会・研究協議会が開催されて、200人余りの学校保健関係の人たちが集まりました。各職種からの発表があり、私は校医部会から「予防接種を受けよう‐VPDにかからないために」という演題で話しました。39年来続けている安佐コホートスタディのデータを基に、「おたふくかぜ」を例にあげて、おたふくかぜの危険性とワクチンの有効性について話しました。

 本年9月の日本耳鼻咽喉科学会の発表によると、2015年度・2016年度における「おたふくかぜ」罹患後の〝難聴″が日本全体で、少なくとも336人発生しました。
 「おたふくかぜ」難聴は、ほとんど回復不能の病気で、しかもその半分以上は5歳から10歳の子供たちです。平成25年度の安佐コホートスタディの調査によると、地元安佐地区の3つの小学校6年生の血液検査で、「おたふくかぜ」にかかってない人および予防接種をしていない人が約3割を占めていました。更に、40代の成人の「おたふくかぜ」抗体検査で、抗体が低い人は、約3割いました。更に、「おたふくかぜ」の合併症は、睾丸炎、卵巣炎など不妊につながる原因となることがあります。現在「おたふくかぜ」ワクチンは、国の定期予防接種に入っていません。そのため、ワクチンを接種するためには、保護者は高額のお金を払う必要があります。なんとか、国や地方自治体の施策で、無料で接種できるようにお願いしたいものです。

2017.11.30. 10時
桑原医院 桑原正彦


第110報のPDFは、こちらから