小児科・内科 桑原医院

広島市安佐南区の小児科・内科 地域のホームドクター「桑原医院」

医院からのお知らせ

被災報告第一報 お礼と現況報告1 感謝の気持ちを込めて 

2014年8月28日 第一報
「お礼と現況報告1」 感謝の気持ちを込めて 
  桑原医院院長 桑原正彦

 平成26年8月20日未明前夜から続いた雷鳴と豪雨の中で眠れない夜を過ごしておりましたが、突然竜巻が発生したかのような轟音とともに寝台で目を覚ましました。私の自宅は鉄筋2階建てのかなり頑丈な家ですが、廊下に出てみると1階も2階も窓が破れ建材と立ち木と土砂が家の中に飛び込んできていました。窓を開けて外を見ると隣接の竹やぶや森がなくなって、そのかわり轟々と流れる土砂と谷に変わっていました。お蔭様で私の家族と旧診療所に住んでいる息子家族は元気でした。しかし、庭には膝上まで土砂が溜まって一歩も外に出ることはできませんでした。窓を開け周囲を見回すと様変わりして山側の家は2、3件なくなっていました。水電気はすべて止まっていました。77歳の小生にとっても昭和20年8月6日の被曝体験以降の未曾有な経験でした。
 翌8月21日のお昼頃になって愛犬の小屋がつぶれているのがわかり助けに行きました。12時間泥沼に立って我慢していた「けんた」は生きていましたのでとても喜びました。8月21日夕刻、再び避難命令が出ました。副院長は前年、大腿部骨折したために車椅子生活でしたので警官の4人に手伝ってもらって、泥沼の中を1km離れた桑原医院の診療所の2階に引っ越しました。
 8月20日はさすがに診療を休みました。夕方は梅林小学校が避難場所に指定されました。突然の災害でパニックになった近所の人たちが着の身着のまま避難しておられました。持病の薬も持ってこない人も、怪我をした人もたくさんいました。避難所の管理者である中西校長先生より電話があり、「どうしたらよいでしょうか」との相談を受けました。翌日8月21日診療終了後午後1時から4時までの間に看護師さんと共に「仮設の桑原医院診療所」を小学校の保健室に作り第1日目の診療をしました。昨日の大災害でパニックになった人達、怪我をした人達、薬を持ち出さなかった人達20人以上の人たちが集まっていました。次第に高齢者には心的障害、脱出時の外傷から、避難所生活での腰痛、運動不足などの病気に変わりました。その後は支援者やボランティアの皆さんの病気と外傷が多くなってきました。一昨日からは感染症も発生しております。下痢をする人、高熱の人、喉の痛みを訴える人達です。
 それから既に1週間経ちましたが、「仮設の桑原医院診療所」は続けております。その間たくさんの人達のお見舞いやお礼を頂きました。その中でも安部首相、横倉日本医師会長、その他行政の人達そして医師会の人たちにおいでいただいてお見舞いと励ましのお言葉を頂きました。更に桑原医院にも日本小児科医会や広島小児科医会の会員の有志、更に医師会の会員の有志、旧知の人達そして、私の古い友人達、親族や患者さん達から貴重な支援物資をお送り頂いたり慰問金を頂いたり、電話・FAX・メールを頂いております。今は全部の方々のお礼をすることはできませんがこの場を借りて心から感謝申し上げます。今後避難場所である梅林小学校はいつまで継続できるか現在のところわかりませんけども避難民がいらっしゃる間は「仮設の桑原診療所」は続けたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

平成26年8月28日
医師  桑原  正彦
医師  桑原  明子
医師  桑原 奈津子
看護師 谷川 じゆん
職員一同

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